・発達障害のための塾って何をするの?
・一般の学習塾と発達障害向けの学習塾のどちらを選べばいいんだろう...
・集団授業と個別指導のどっちがあってるんだろう...
発達障害の特徴により、学校の勉強で問題を抱えるお子さんは多くいらっしゃると思います。私が中学生・高校生だった頃も学習法についてずいぶんと悩まされていました。
当時、集団指導塾には入っていましたが、授業の言っている意味がわからなくてついていけないことが多々ありました。「大手の塾だったら成績が伸びるだろう」と考えていました。
しかし、6年間塾業界に携わってみて個人によって成績の伸びる授業形態が大きく違うということが分かりました。
現在私自身は”まなび”が中心の放課後デイサービスに努めており、発達障害やグレーゾーンの子と多く関わっています。そこで得た知識や経験も踏まえて、『発達障害の子のための塾選び』について話していきたいと思います。
学習塾といっても目的によって塾選びは大きく変わります。
勉強を出来るようにしたいのか、発達障害による問題行動を解決していきたいのか。勉強であれば、苦手を克服したいのか、友達と切磋琢磨していきたいたいのかなどです。
通常の学習塾と発達障害児向けの学習塾では、通塾目的が大きく異なります。
- 通常の学習塾の目的は『勉強方法を知る』
- 発達障害児向けの学習塾の目的は『勉強に取り組めるようにする』『療育』『特別支援学校への合格』
というイメージです。
特に同じ学力を上げる目的でも、勉強に集中することができるかで、一般の学習塾、発達障害の子向けの塾に通ったほうがよいかが変わります。
それぞれの塾の特徴を話していきます。
通常の学習塾の特徴
勉強方法を知り、学力を伸ばすことを大きな目的としているのが特徴です。
- 集団指導
- 個別指導
- 家庭教師
授業形態は主に上記の3つになります。学力を上げる目的は共通ですが、それぞれ行うことと具体的な目的が異なります。
集団指導
先生1人に対して子供数人~数十人で行う授業形式です。
先生が黒板に説明を書いていき、生徒が板書をしていくのが一般的です。問題を解く際は生徒が解く時間を設け、解説を先生が行っていきます。
学校と同じ形式で授業を行っていくのが特徴です。
下記に当てはまる方におすすめです。
- 学校の授業形式についていくことができる
- 学校の予習をしたい
- 友達と切磋琢磨していきたい
- 授業料を安くおさえたい
個別指導
先生1人に対して、生徒1~3人で行う授業形式です。
生徒は同じ空間にいますがそれぞれ違うところをやっており、生徒一人一人に合わせたカリキュラムで行っていくのが特徴です。
しっかりと勉強を見て欲しい場合は、先生1人に対して生徒1人~2人で行う個別指導塾を探すことがオススメです。
1対3以上の授業では自分でテキストを読んで単元を進めて行き、分からないところを先生に質問するといった授業スタイルになります。質問をしたり、メリハリを持って勉強をしたいという子におすすめです。
下記に当てはまる方におすすめです。
- 自分だけのカリキュラムで授業を進めたい
- 先生との距離感が近い方がいい
- 質問を気軽にしたい
家庭教師
先生に家に来てもらい、マンツーマンで行う授業形式です。
個別指導塾とほぼ同じ形式ですが、家で学習を行う、マンツーマンで授業を行えるという違いがあります。
授業の中で趣味などの雑談ができ、先生と打ち解けやすいのも特徴です。個別指導よりもさらに割高ですが、その分悩み相談などの心のケアも期待ができる指導形態です。
下記に当てはまる方におすすめです。
- 1対1でじっくりと学習を見て欲しい
- 慣れた環境で勉強をしたい
- 自分だけのカリキュラムで授業を進めたい
- 先生との距離感が近い方がいい
- 質問を気軽にしたい
発達障害児向けの学習塾の特徴
対人関係スキルを学ぶ、高等特別支援学校への合格、机に向かえるようにする、を大きな目的としているのが特徴です。コースによっても、療育と勉強のどちらの比重が高いかが変わってきます。
社会人コースも設けられており、10年・20年通い続けている方がいるのも大きな特徴です。勉強だけでなく、私生活をしやすくすることにもフォーカスしていることがうかがえます。
発達障害児向けの学習塾の具体的な目的は以下の通りです。
- ソーシャルスキルトレーニング(SST)で対人関係スキルを学ぶ
- 高等特別支援学校への合格
- 勉強嫌いを克服する
- 公立学校レベルの授業についていけるようにする
- 学習障害への対処法を知る
ソーシャルスキルトレーニング(SST)
SSTとは簡単に言うと、人と上手に付き合うための練習です。
発達障害向けの学習塾では人付き合いをうまくするための方法を学んでいきます。
またSSTは発達障害などの特性により、学校や日常生活で対人関係で困難を生じる場合に用いられます。具体的には以下の通りです。
- コミュニケーションが苦手: 言葉の選び方や、相手の気持ちを理解するのが難しい場合。
- 集団行動が苦手: 学校や職場など、多くの人と関わる場面で不安を感じてしまう場合。
- 友達を作りたい: より良い人間関係を築きたい場合。
実際の場面を想定したロールプレイや、グループワークを通してコミュニケーション能力の向上を図っていきます。
高等特別支援学校への合格
発達障害向けの学習塾の中には特別支援学校高等部の合格に向けたコースが設けられていることがあります。中3生を対象としており、特別支援学校高等部への合格を目的としています。
集団授業で行うことが多く、学科、面接、作文、作業試験の対策だけでなく、試験に臨む態度や自己管理の仕方など学びます。
個別指導
主に学校の復習や定期テスト対策をしていきます。勉強が嫌いなお子さんが多数いらっしゃるため、まずは勉強時間を伸ばせるように簡単な課題で成功体験を積んでいきます。
コースは複数用意してあることが多く、受験に向けたコースなどもあります。
1~3対1の授業がほとんどで、学校の授業についていけない子の補修授業や受験対策をしていきます。
発達障害や学習障害への理解がある先生が多くいらっしゃるので、心強いポイントです。
発達障害の子におすすめの塾選び
発達障害の子の塾選びでも、目的によって選ぶ塾が変わってきます。
講師との相性もあるので、いろんな個別指導塾で体験授業を受けて相性のいい講師を探すのもとても重要です。
目的別の選び方は以下の通りです。
- 学力を上げる
- 対人関係スキルを学ぶ
- 高等特別支援学校への合格
学力を上げる
学力を上げる目的でも、勉強に取り組むことができるか、できないかでお勧めの塾選びが変わってきます。
- 勉強に取り組むことができる → 一般の学習塾
- 勉強に取り組むことが難しい → 発達障害向けの学習塾
勉強に取り組むことができる
発達障害の特性を持っているが、勉強に取り組むことができるお子さんは下記の授業形式がオススメです。
勉強が苦手なのが理由で勉強に取り組めない子も当てはまります。
- 一般の個別指導塾(1対1 or 2対1)
- 家庭教師(1対1)
勉強に取り組むことができるかの基準は以下の通りです。
・30分間連続で机に向かうことができる
・勉強方法が分からなくて困っている
個別指導、家庭教師による授業がおすすめなのは次のことが理由です。
- どこでつまづいているかをしっかり見てもらうことができる
- 自分のペースで進められる
- 個人にあった勉強法を教えてもらうことができる
学校の授業や集団授業で理解できないのは、授業に追いつけない、先生の教え方が自分に合っていないことが大きな理由になります。
そのような子は自分のペースで進められ、自分に合った勉強法を教えてもらえる個別指導・家庭教師の授業形態がオススメです。
勉強に取り組むことが難しい
ADHDなどの特性によって勉強に取り組むことが難しい場合は
発達障害の子向けの学習塾
がおすすめです。
勉強に取り組むことが難しいかの基準は以下の通りです。
・30分間連続で机に向かうことが難しい
ADHDの傾向を持つ子は、気が散ってしまい勉強に集中できないことが多々あります。
発達障害の子向けの学習塾ではついたてを用いるなどの環境設定により、集中の持続時間を延ばすなどの工夫をしてくれます。
勉強が苦手なのが理由で机に向かうことが難しい子は、下記のように考えることがオススメです。
- 受験を見据えて学力を伸ばしたい場合 → 一般の個別指導塾
- 学校の授業についていけるくらいまで学力を伸ばしたい → 発達障害向けの学習塾
人付き合いを上手にしたい、高等特別支援学校に合格したい子
人付き合いを上手にしたい、特別支援学校に合格したい子は
- 発達障害専門の学習塾
がおすすめです。
SST(ソーシャルスキルトレーニング)で人とのかかわり方を学べる塾はほとんどの場合、発達障害専門の学習塾になります。
発達障害専門の学習塾には、特別支援学校への合格へ向けたコースも用意されている場合が多いです。
おすすめの塾紹介
ここからは目的に応じた、実際の塾の紹介をしていきたいと思います。講師との相性がとても重要になるので授業形態が同じでも、相性のいい講師が見つかるまで体験授業することがオススメです。
学力を上げる
勉強に取り組むことができる
森塾、家庭教師のトライ、TKG
勉強に取り組むことが難しい
さくらんぼ教室、家庭教師のトライ
対人関係スキルを学ぶ
さくらんぼ教室
高等特別支援学校への合格
さくらんぼ教室
まとめ
おすすめの塾の選び方をまとめると下記のようになります。
- 通塾目的を確認する(学力を上げる or 机に向かえるようにする or 療育 or 高等特別支援学校合格)
- 通いたい塾の種類を決める(一般の個別指導塾 or 発達障害専門の学習塾)
- 授業形式を決める(集団授業 or 個別指導 or 家庭教師)
- 塾に問い合わせて体験授業を受ける
- 講師との相性がいいかを確認する
- 入塾
体験授業を受けてみて相性のいい講師が見つかるまで、4.5を繰り返していきます。
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