- 文章を全部読んだのに、内容が全く頭に入ってない!
- 説明文などの硬い文章の言っている意味が分からない!
- 教科書を読んでも、何をいっているかさっぱりわからない!
発達障害の特性を持つ子の中には、文章を理解することが苦手な子が多くみられます。
僕自身もADHDの診断を受けているのですが、学生の頃は文章の言っている意味が分からなくてとても苦労しました。
具体的には国語の説明文や論説文などの硬い文章、数学の問題の解説が理解できなくて困ったのを覚えています。
大人になった今も硬い文章に触れる機会が多くありますが、頑張れば理解できる程度までにはできるようになりました。
今回はADHDの子が文章を理解しづらい原因と対策方法を話していきます。
ADHDの子が文章を理解しづらい原因
文章を理解するためには3つのステップがあり、どれか一つでもつまづいてしまうと文章を読むのが困難になってしまいます。
- STEP1 言葉を知っている
- STEP2 文を理解する
- STEP3 文章を理解する
文は一つの文のこと。文章は文が集まってできたかたまりのことを指します。
※特に発達障害の特性を持つ子がつまづきがちなところを赤にしています。
言葉を知らない(STEP1)
語彙力が低い
語彙力が低いと、そもそも言葉を知らないので文を理解することができません。
特に説明文や論説文では難しい言葉が多く使われているので、苦戦する傾向があります。
文を理解できていない(STEP2)
文の理解が難しい理由として、文法の問題・読み方の問題の2つが考えられます。
- 主語と述語がわかっていない
- 文節で区切って読むことが難しい
- 読むスピードが速い
主語と述語がわかっていない
文の主語述語を理解できていないと、文の理解はとても難しくなります。
特に、下記のように主語と述語が離れていると文を理解しづらくなります。
『ワーキングメモリは別名で作業記憶ともいわれており、パソコンに例えるとCPUと同じような役割をになう脳の機能です。』
この文は、主語が"ワーキングメモリ" 、述語が"脳の機能です" になります。
文節で区切って読むことが難しい
文を読むときに、言葉の区切りが難しく文が読めないということがあります。
『このブログでははったつしょうがいの子のためのべんきょうほうについて書いています。』
上記の文章では「このブログでは はったつしょうがいの 子の ための」というように言葉のかたまりを無意識に頭の中で考えています。
しかし、文節に区切ることが難しいと「このブログ でははった つしょう がいの子 のための」というように文を理解しづらくなってしまいます。
漢字は文節に区切りやすくする側面を持っているので、文にひらがなを多く使う小学校低学年で特に起こりやすい問題になります。
読むスピードが速い
ADHDの特性を持つ子が文の理解が難しくなる大きな原因です。
文を理解していないのにどんどん読み進めてしまうことで、読み終わったのに内容が頭に全然入っていないということが起こります。
文の理解に時間がかかるが音読や文を追うことは速くできる子、に起こりがちです。
特に難しい言葉が多く使われている文章では、言葉の意味を脳の引き出しから取り出すまでに時間がかかり、文の理解に時間がかかります。
論説文などの硬い文章の理解に時間がかかるのはこのためです。
文は理解できるが文章が理解できない(STEP3)
文章の理解が難しい理由として、ワーキングメモリの問題・文章の読み方の問題の2つが考えられます。
- 文章を覚えながら読み進めることが難しい
- 文と文のつながりを意識して読めていない
文章を覚えながら読み進めることが難しい
ADHDの特性を持つ子はワーキングメモリが低いです。
ワーキングメモリが低いと直前に読んだ文章を覚えておくことが難しくなるため、文と文とのつながりを考えることが困難になります。
また2つのことを同時に行うことが苦手なので、読む・考える、を一緒に行うのが困難になります。そのため、難しい文章だと内容が全く頭に入らないということが起きます。
文と文のつながりを意識して読めていない
文を理解できたとしても文と文のつながりを意識して読めていないと、筆者が何について話しているのかがわからなくなりやすいです。
国語の文章を読むうえで、『接続詞が大事』と言われるのはこのためです。
読むことに集中できていない(STEP2,3)
集中が切れている中読んでいる
文章を読むのが苦手な子の場合、集中力が切れているなかで文章を読んでも内容を理解することがなかなかできません。
しっかり休憩を取って脳疲労を回復させることが大切です。
文章を理解しやすくするための方法
STEP1~3のどこからつまづいているのかを確認したら、対応したSTEPの対処法を実践していきましょう。
- 言葉を知っているか(STEP1)
- 文を理解できているか(STEP2)
- 文章を理解できているか(STEP3)
※特に発達障害の特性を持つ子がつまづきがちなところは赤文字にしています。
言葉を知る(STEP1)
STEP1でつまづいている場合はとにかく語彙力をあげていきましょう。
語彙力を上げる
語彙力を上げるためには、分からない言葉が出てきたら調べることが大切です。
本をあまり読まない方は、語彙力カードを使うことで効率よく語彙力を上げることができるのでおすすめです。
文を理解する(STEP2)
STEP2でつまづいている場合は下記の4つを一つずつ実践して、効果があるか確認してみてください。
- ゆっくりと意味を理解できるペースで読み進めて行く
- 単語に〇をつける
- 漢字の読みを覚える
- 主語と述語を見極める練習をする
意味を理解できるペースでゆっくりと読み進めて行く
言葉の意味を知っていて文を理解できない場合は、ゆっくり読み進めて行くと理解ができるようになることがあります。
ゆっくり読んでもわからない場合は文を何度も読み返すことが大事です。
単語に〇をつける
文節に区切って読むことが困難で文が理解できない場合は、単語ごとに〇をつけたり、/(スラッシュ)で区切るなどをすると読みやすくなります。
漢字の読みを覚える
漢字を覚えることで文節ごとに区切りやすくなるので、文が読みやすくなります。
漢字を覚えていなくても、漢字にフリガナがふってあれば言葉の区切りが分かるので今までよりも簡単に文を理解することができます。
主語と述語がどこかを見極める練習をする
文の主語と述語が何なのかを理解することで、文のざっくりとした意味を知ることができます。
練習方法としては文の要約をすることがとてもオススメです。
文章を理解する(STEP3)
STEP3でつまづいている場合は、文の繋がりを考えずに読んでいることが原因です。
- 文章のテーマと段落を意識する
文章のテーマと段落を意識する
文の意味を理解することはできるけれども、どんな文章なのかを理解するのかが難しい場合は文章のテーマと段落を意識することが大切です。
広いところから段々とせばめて見ていくことで、文と文とのつながりが理解しやすくなります。
大きいかたまりから書いていくと下記のような順になっています。
テーマ>段落(意味段落)>文>言葉
つまりテーマが分かれば段落と段落のつながりが分かりやすくなり、段落が分かると、文と文のつながりが分かりやすくなるということです。
文章の要約をすることで、テーマと段落を意識しながら読む練習をすることができます。
文と文章を理解する(STEP2,3)
- 集中が切れたら休憩する
- 指で追って読む
休憩する
集中が切れた状態だと、いつも理解できる文章でも理解できないことが多々あります。
特に日や時間によって文章の理解度が大きく違う場合、集中力の欠如が原因であることが多いです。
脳疲労を感じたら休憩を取りましょう。脳疲労の取り方に関しては過去の記事の中で話しています。
指で追って読む
文章を読む際に、無意識的に視線が読んでいる箇所以外に飛んでいってしまい、それが原因で文章読解できなくなってしまったり、タイムロスになってしまうということがあります。
この原因の対処法として、指でなぞりながら読むという方法がおすすめです。
そもそも、私たちの目は、動くものを視線で追いかけるという特性を持っています。この特性から、今読んでいる箇所に視線が集中するようになります。
また、指で文字をなぞりながら読んでいくことで、無駄な目移りを減らすことができ、通常目だけで読んでいるときよりも精度を上げて読解することができるようになります。
まとめ
ここまで話してきたことをまとめると、以下のような流れです。
1,STEP1~3のどこでつまづいているのかの原因を確認する。
- 言葉を知っているか(STEP1)
- 文を理解できているか(STEP2)
- 文章を理解できているか(STEP3)
2,各ステップに関する対処法を実践する
言葉を知っているか(STEP1)
- 語彙力を上げる
文を理解できているか(STEP2)
- ゆっくりと意味を理解できるペースで読み進めて行く
- 単語に〇をつける
- 漢字の読みを覚える
- 主語と述語を見極める練習をする
3,文章を理解できているか(STEP3)
- 文章のテーマと段落を意識する
他に、文・段落・文章の要約をすることによって文章の理解力を上げることができるのでおすすめです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。今回はADHDの子が文章を読むことが難しい原因と対策法を詳しく話していきました。
定型発達の子でも同じように使える考え方なので、文章読解が苦手な子がいればぜひ使ってみてください。
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