ADHDの薬物療法

ADHDとは

ADHD(注意欠陥多動性障害)は生まれつきの脳機能の偏りによって現れる発達障害です。

ADHDの子は不注意・衝動性・多動性』の3つの中から、1つ以上の特徴を持ちます。特性の出方は人それぞれで、不注意だけの子もいれば、3つ全ての特性を持つ子もいます。

症状の現れ方によって「不注意優勢型」「多動・衝動優勢型」「混合型」と分類されます。

幼少期は衝動性・多動性が目立つことが多く、大人になると不注意が目立つことが多いという特徴もあります。

不注意・衝動性・多動性の学校生活での特徴は以下の通りです。

  • 不注意→ 授業に集中することが難しい、忘れ物が多い、すぐに気が散ってしまうなど
  • 衝動性 → 我慢ができない、いきなり走り出すなど
  • 多動性 → 授業中に立ち歩いてしまう、落ち着けないなど

ADHDの原因

ADHDの原因は全てを解明できているわけではありませんが、脳の中の3大神経伝達物質が十分に出ないこと前頭葉の機能調節に偏りがある、の2つが考えられています。

脳の3大神経伝達物質は以下の通りです。

  • ノルアドレナリン
    脳の覚醒に働き、やる気や注意力、積極性を高める。
  • ドーパミン
    興奮や快感、達成感を与える。
  • セロトニン
    ノルアドレナリンとドーパミンの出る量を調節して、幸福感や安心感を与える。

ADHDの方はノルアドレナリンとドーパミンが正常に出ていないことにより、「不注意」「衝動性」「多動性」の3つの特徴が出ると考えられています。

ノルアドレナリンが少ないと覚醒度が下がり、一日中ボヤッとした感じになり、やる気が出ない、集中できない、ケアレスミスが多くなるなどの症状が出ます。

ドーパミンが出ないと物事の順序だてが難しい、じっと待つことが難しいなどの症状が出ます。

脳はノルアドレナリンとドーパミンが出ることにより前頭葉がしっかり働くことができます。前頭葉は、物事の順序を立てる、我慢する、意思の決定、ワーキングメモリに関与しています。

ADHDの子はノルアドレナリンとドーパミンの量分泌量が少ないため計画性がなかったり、ワーキングメモリが低いことが多いです。

服薬ではノルアドレナリンとドーパミンのどちらか、もしくは両方の分泌量を増やすことによって症状に対処していきます。

ADHDに処方される3つの代表的な薬

主なADHDの薬はコンサータ・ストラテラ・インチュニブの3つになります。症状や薬の効き目によって使用する薬を決めていきます。

特徴は以下の表のとおりです。

ADHDの薬は脳の神経伝達物質(ドーパミン・ノルアドレナリン)を増やすため、覚せい剤のような依存や乱用のリスクを気にする方も多いと思います。

脳の神経伝達物質を調節する薬は、依存性がある中枢神経刺激薬と、依存性がない非中枢神経刺激薬の2つに分けられます。

中枢神経刺激薬は依存性があり、コンサータが該当します。非中枢神経刺激薬は依存性がなく、ストラテラとインチュニブが該当します。

コンサータは中枢刺激薬ですが、錠剤が半日かけて溶けるように作られているので依存性は少ないです。また、中枢刺激薬は処方医として認可された医師しか処方することができません。

コンサータ

不注意・衝動性・多動性の改善に期待できる薬です。ノルアドレナリンとドーパミンの分泌量を間接的に増やします。即効性があり服薬後0.5~1時間で効果が表れ始め、半日ほど効果が続きます。

副作用は食欲低下、不眠、動悸などがあります。

リスクは低いですが依存性があるため、国から認可された処方医のみが提供できる薬となっています。

ストラテラ

不注意・衝動性・多動性の改善に期待できる薬です。ノルアドレナリンの分泌量を間接的に増やします。ドーパミンも相互作用で増やすことができます。薬効が安定すると24時間効果が持続します。

薬効の持続時間の長さと依存性がないことが大きなメリットです。

効果が出るまで1~2か月ほどかかるので効果が出ていなくても飲み続ける根気強さが必要です。

ほのけん
ほのけん

僕もストラテラを一日80mg飲んでいますが、集中できる時間が上がり、物忘れが前よりも減りました。たまに口の渇き、のどがムカムカが気になることがあります。

インチュニブ

衝動性・多動性の改善に期待できる薬です。ノルアドレナリンの分泌量を間接的に増やします。効果が出るまで約1~2週間かかり、コンサータとストラテラのちょうど間のイメージです。

特に情動を安定させる働きがあり、ルールを守れない、癇癪の改善などの効果が見込めます。

元々血圧を下げる薬として開発されたので、副作用は血圧の低下による眠気になります。

二次障害による投薬

ADHDや他の発達障害を持っている方は学校生活や社会生活で困難を抱えることが多いです。そのため大きなストレスによって、二次障害としてうつ病や抑うつ状態を発症することも多いです。

うつ病は三大神経伝達物質(ドーパミン・ノルアドレナリン・セロトニン)の中のセロトニンの分泌量が低下した状態です。

そのため二次障害には、セロトニンの分泌量を増やす薬であったり、睡眠導入剤などが処方されることが多いです。

二次障害を起こさないためには、本人と周囲の人が発達障害を理解することがとても大切になります。

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