発達障害について

2024年2月現在、発達障害を持っている児童は小中学生で8.8%(30人のクラスで2.6人)ほどと報告されており、発達障害のグレーゾーンの子も合わせると10.6%(30人のクラスで3.2人)ほどと言われます。

この結果から分かる通り、かなり多くの児童が発達障害の特性を持っているということです。

実際にブログを執筆している私自身も不注意型のADHDの診断を受けており、学生時代から現在に至るまで多くの苦労をしてきました。

その中でも学生時代は勉強に関する問題がとても多く大変な思いをしてきました。

このブログでは、私自身の経験談も交えながら、発達障害の特性を持っている子の勉強面に関する問題の解決法を主に書いています。

発達障害の3つの種類とグレーゾーン

発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達の偏りにより社会生活に困難が発生するというものです。発達障害は外見からは分かりにくく、その症状や困りごとは人によってさまざまです。

発達障害は病気ではなく根本的に治せるものではありません。

特性を受け入れて対処法を習得することがとても大切になります。

よく知的障害と間違われることがありますが別物であり、知的障害を伴う場合と伴わない場合があります。

勉強面においても様々な問題を抱えることが多いため、様々な視点からアプローチをしていく必要があります。

発達障害とは次の3つのことを指します。

  • ASD(自閉症スペクトラム)
  • ADHD(注意欠如多動症)
  • LD(学習障害)

ASD(自閉症スペクトラム)

ASD(自閉スペクトラム症)は、コミュニケーションや対人関係の困難、行動の柔軟性の困難、感覚過敏や感覚鈍麻などの症状を示す発達障害の一種です。

以前は「自閉症」「アスペルガー症候群」など、さまざまな名称で呼ばれていましたが、2013年にASDという名称に統一されました。

ASDの子供の特徴として次のようなものが当てはまります。

1. 対人関係・コミュニケーション面

  • 一人遊びが好き
  • 他の子への興味が薄い
  • 名前を呼んでも振り向かない
  • 相手の気持ちや暗黙のルールを理解するのが難しい
  • 会話の中で相手の目を見ることが苦手

2. こだわり・興味

  • 自分のルールへのこだわりが強い
  • いつも同じ遊び方をする
  • 同じやり方や状態にこだわる
  • 興味の範囲が狭い

3. その他

  • 言葉が遅れている
  • 痛みなどの感覚に敏感、または鈍感
  • 一つのことに熱中しまわりが見れなくなる

ADHD(注意欠如多動症)

ADHD(注意欠如多動症)とは授業に集中できない、忘れ物が多い、授業中に立ち歩いてしまうといったような特徴が現れる発達障害の内の一つです。

『不注意』『多動性』『衝動性』の3つの特性が見られ、日常生活に困難を生じます。

不注意のみが強かったり、不注意と衝動性が同時に現れるなど特性の現れ方は人によって様々です。

不注意型

ドラえもんで例えると、「のび太」のような子のイメージです。忘れ物が多かったり、物事に集中することが困難といった特徴があります。

学校生活では次のような問題がよく現れます。

多動性・衝動性型

ドラえもんで例えると、「ジャイアン」のような子のイメージです。感情のコントロールが難しく、落ち着きがないなどの特徴があります。

学校生活では次のような問題がよく現れます。

  • 順番を待てない
  • 指名されていないのに答えてしまう
  • 授業中に走り回る

LD(学習障害)

LD(学習障害)とは、全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算するなどの特定の学習に困難を示す発達障害の一種です。

特定の分野でできないことを除けば発達の遅れは見られないため、「がんばればできる」「努力が足りない」「勉強不足」と見過ごされることが多いです。

支援の必要性が認知されにくく、結果的に子どもの自信の低下につながりやすいので注意が必要です。

LDは、『読字障害』『書字障害』『算数障害』の3つに分けられます。

読字障害

文章を読むことに困難を抱える障害です。学校では下記のような問題を生じることが多いです。

  • 「ぬ」と「め」など似た字を読み間違える
  • 文章の意味を理解することが難しい
  • 文章を読むのがたどたどしく、読むのにとても時間がかかる

書字障害

字や文章を書くことに困難を抱える障害です。学校では下記のような問題を生じることが多いです。

  • バランスのとれた文字を書くことが難しい
  • bとdなど形の似ている文字を間違えて書いてしまう
  • 文章を書く時に「は」「が」などの助詞をうまく使いこなせない
  • 板書など書き写しの速度が極端に遅い
  • 考えていることを文章で表現することが難しい

算数障害

計算や数量の理解に困難を抱える障害です。学校では下記のような問題を生じることが多いです。

  • 数をとばして数えてしまう
  • 数の大きい小さいがわからない
  • 計算を習得することが難しい
  • 文章題を解くのが難しい

発達障害のグレーゾーン

発達障害のグレーゾーンとは、発達障害の特性が見られるものの、診断基準には満たない状態の通称です。

診断基準に満たないため、「支援を受けられない」「相談先がない」「理解を得られにくい」といった特有の困りごとがあります。

似たような言葉で「グレーゾーン」という言葉がありますが、これは境界知能(IQが70~84であること)を指します。

学習や仕事で問題になりやすいところ

発達障害の特性によって学習で困難を生じる点は変わります。

また、ADHDの不注意傾向とLD傾向が強いというように、特性が複数重なることも多くあります。

学習での問題点は、将来仕事するときにも同じような問題が起こるため、早期での支援がとても大切になってきます。

論理的思考が得意、創造力が高い、行動力がある、など秀でた長所があることも多いため、長所をうまく使うことも大事です。

ASD傾向が強い子

ASD傾向の強い子は、下記のような問題が学習や将来の仕事で起こることが多いです。

学習面

  • 特定の分野に偏り、バランスよく学習できない
  • 興味のない学習は、集中が続かない
  • 完璧主義な傾向があり、ミスを恐れて学習意欲を失ってしまう
  • 変化を嫌がり、新しい学習方法を受け入れられない
  • 指示が理解できず、課題を遂行できない

仕事面

  • 好きな仕事でないと遂行が困難
  • 完璧主義で納期に遅れてしまう
  • 上司の指示が理解できない
  • 臨機応変な対応ができない
  • 興味のある分野で高い集中力を発揮する
  • 論理的思考が得意
  • 几帳面で正確な作業を遂行できる

ASDの特性を持つ子向けの勉強法はこちら

ADHD傾向が強い子

ADHDの傾向が強い子は、下記のような問題が学習や将来の仕事で起こることが多いです。

不注意が強い子

学習面

  • ケアレスミスが多い
  • 宿題や課題を忘れる
  • 集中力が続かない
  • 課題を最後までやり遂げられない
  • 時間管理が苦手

仕事面

  • 書類などのケアレスミスが多い
  • やるべき仕事をうっかり忘れてしまう
  • 集中力が続かない
  • スケジュール管理が困難
  • 遅刻が多い
  • 整理整頓が困難
  • 自分が好きなことに抜群の集中力を発揮する
  • 他人が思いつかないようなアイデアを思いつく

衝動性・多動性が強い子

学習面

  • 授業中に立ち歩いたり、おしゃべりをする
  • 集中力が続かない
  • 課題を最後までやり遂げられない
  • 時間管理が苦手

将来の仕事

  • 集中力が続かない
  • 仕事を最後まで終わらせることが困難
  • スケジュール管理が困難
  • 遅刻が多い
  • 整理整頓が困難
  • 決断力があり、物事を素早く判断できる

ADHDの特性を持つ子向けの勉強法はこちら

LD傾向が強い子

LD傾向の強い子は、下記のような問題が学習や将来の仕事で起こることが多いです。

読字障害

学習面

  • 「ぬ」と「め」など似た字を読み間違える
  • 文章の意味を理解することが難しい
  • 文章を読むのがたどたどしく、読むのにとても時間がかかる

将来の仕事

  • 資料やマニュアルなどの文章を正確に読み込むことが難しい
  • 文章での指示を理解できず繰り返しミスが発生する
  • 資料や長文のメールを読むのに時間がかかる

書字障害

学習面

  • バランスのとれた文字を書くことが難しい
  • bとdなど形の似ている文字を間違えて書いてしまう
  • 文章を書く時に「は」「が」などの助詞をうまく使いこなせない
  • 板書など書き写しの速度が極端に遅い
  • 考えていることを文章で表現することが難しい

将来の仕事

  • 自分の考えをまとめるのが苦手で、会議などで提案ができない
  • メールの読み書きに長い時間がかかる場合がある
  • 業務のメモを取ることが難しい

算数障害

学習面

  • 数をとばして数えてしまう
  • 数の大きい小さいがわからない
  • 計算を習得することが難しい
  • 文章題を解くのが難しい

将来の仕事

  • 時計が読めず、時間管理が難しい
  • お金の計算が難しい
  • 発注書や見積書の作成が困難

LDの特性を持つ子向けの勉強法はこちら

まとめ

発達障害の特性を持っている子は日常生活だけでなく、学習や将来の仕事において、多くの困難を生じます。

親や先生に怒られたり勉強をしても成果に繋がらない、などの失敗体験を多くしています。

しかし、発達障害の特性を持った子は、秀でた部分を持っていることもとても多いです。

トム・クルーズ、アインシュタイン、ウォルト・ディズニーなど多くの偉人が発達障害を持っていたというのは有名な話です。

苦手なことは対処法を学び、得意なことは伸ばしていくことがとても大切になります。

そのため、早期に個人の特性に合わせた『療育』『学習』をしていき、普段の生活での成功体験を増やすことがとても重要です。

本ブログでは発達障害の子のための勉強法を主に書いています。

記事を参考にして、少しでも成功体験を増やし生活をよりよくしてもらえたら幸いです。

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